はじめに
いつもは拙者だが、過去に戻ったので僕になった
僕はそんなに勉強ができるわけでもなく、すごくスポーツができるわけでもない。

どこにでもいるような小学生だった。
僕は5年4組のタケシ。
僕のクラスに転校生がやってきた。
名前は忘れたけど、あだ名はオックン。
僕のクラスの仲間にはみんなあだ名が付いていた。
あだ名を付けようとホームルームで決めたわけじゃないけど、みんなにあだ名があるんだ。
宣子先生にはあだ名はなかったけど、僕たちは○○ババアと影では呼んでいた。
○○の部分は苗字だけど。
僕にもあだ名があったけど、とても間抜けなアダナ。。
好きじゃないから教えない。
オックンは、たぶん僕が付けたあだ名だと思う。
僕は、オックンとあんまり一緒に遊ばなかったけど、すごく印象に残っていたので、ブログにソロ出演してもらった。
でも、オックンにはギャラは無いんだ。
オックンはお婆ちゃんと二人でひっそりと小さなアパートに暮らしていた。
お婆ちゃんっ子で感受性がものすご~く強くて超駄々っ子だった。
運動はまるで駄目で、勉強もあまりできなかったけど、歌が上手くて虫や恐竜が大好きだった。
虫の事なら図鑑よりもファーブルよりも絶対詳しかったと思う。
オックンは世界一の昆虫博士なのかも?
オックンはいつもお婆ちゃんといっしょに学校に来ていた。
いつも草むらに入って虫を観察しながら来るのが日課で、いつも遅刻をしていたんだ。
僕らは校舎の4Fの廊下から、いつもお婆ちゃんとオックンの登校風景を観察していた。
オックンは前かがみになって何かを探し回っているように動き回っている。空き地の草むらに入って行くと、草の陰に隠れて見えなくなってしまう。
お婆ちゃんは、オックンを手招きして「早く帰っておいで」と叫んでいるように見える。
しばらくすると、オックンは大事なものを手の中に入れて慢心の笑顔で戻ってくる。
僕はこの光景を見てとても微笑ましく思っていたけど、お婆ちゃんが犬の散歩をしているように思えて仕方が無かった。
教室にオックンが入ってきた。
もちろん慢心の笑みを浮かべている。
「すごいやろ! ゴミ虫や」と言って、みんなに披露するんだけど、いつも「汚いから捨てろ!」とみんなに言われていた。
もちろん、オックンは虫を捨てたりしない。
その日は一日中、机の上にゴミ虫を置いて遊んでいるんだ。 
あの頃の僕たちの楽しみは、転校生オックンを観察したり、からかったりすることだった。
僕は、オックンが椅子に座ろうとしたとき椅子を引っ張ってひっくり返すことが楽しみだった。大体が失敗するか、スローモーションのようにこけるので、オックンも笑っていたんだけど、、、
ある日、図工の時間に同じように僕はオックンの椅子を引いた。 
今迄で最高のタイミング! ガッツポーズだったんだけど。。。。。。
教室中にもの凄く大きな音が響き渡って、オックンはドッスンと思い切り尻餅をついた。
すごく痛かったんだと思う。
オックンは大声で泣き出して、僕は何度何度もオックンに叩かれ、先生には、こっぴどく怒られて、時間中廊下にずっと立たされていた。
反省した僕は、それ以来、椅子引きゲームをしなくなった。
クラス中で、オックンの物まねが流行ったことがあった。
オックンはテストになると、必ず独り言をぶつぶつ言い出して、最後は「わからんわからん」と言って、いつも泣き出すんだ。
机の上の答案用紙に頭をこすり付けながら 「わからんわからん」というのが、オックンの物まねなんだ。 
最初は、さすがにオックンもみんなの物まねを見て、怒って、みんなを追い回していたけどクラス中があっちこっちで「わからんわからん」をやるもんだから、自分がスターになったつもりになって、いつしか、僕たちを指導するようになった。
相変わらず、お婆ちゃんは朝のオックンの散歩をしているし、オックンは机の上の虫と戯れているけど、テスト中の「わからんわからん」はあまり言わなくなった。
僕たちも転校生のオックンをからかわなくなり、みんなで、よくオックンのアパートへ遊びに行くようになっていた。
6年生になってもクラスはそのままだった。
もちろん、そこにはオックンもいた。
卒業式の謝恩会では、オックンがクラス代表になって歌を歌った。
僕たちは、オックンの後ろで「ワ、ワ、ワ、ワーン♪」「ワカラ~ン♪ ワカラ~ン♪」とバックコーラスで盛り上げたんだ。
みんなのアイドル♪ オックンだ~!
オックン今頃どうしているんだろうか?
今頃は、昆虫博士にでもなっているのかも知れない。
そんじゃ~ シンク~ラ ♪
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