はじめに
いつもは拙者だが、過去に戻ったので僕になった
僕はそんなに勉強ができるわけでもなく、すごくスポーツができるわけでもない。

どこにでもいるような小学生だった。
僕には、親友の探検隊きよし君の他にも沢山の仲間がいた。
その中にプラ友で、たつや君とまさゆき君がいて大の仲良しだった。
プラ友は、今ではマニアやおたくのように言われているけど、プラモデルが好きな友達の輪なんだ。
たつや君は、僕と違って学年で1,2を競う程の秀才だった。
勉強ができて、スポーツが万能、性格が物凄くいいので皆からも信頼されてたし、先生からの評価もすごく高かった。
人間自分に無いものには興味が沸くものだ。
だから、この秀才たつや君は、僕のような凡人にとても興味を持ったのだと思う。
僕もたつや君がとても好きだった。
それは、たつや君が勉強やスポーツができるからではなくて物凄くやさしかったからだ。
同い年だけど、兄貴のような存在でもあった。
たつや君の家には頻繁に遊びに行ってた。
たつや君は長男で下に妹と弟がいて、二人にすごく慕われていた。
僕は、今でもはっきりと覚えている。
そう! たつや君は、家でも学校でも変わらない最高のスーパージュニアだったんだ。
もう一人のプラ友のまさゆき君が、密かにリモコンの戦車で戦争ゲームをスタートさせていた。
僕らもすぐ、これに参戦した。
ルールは、戦車がひっくる返るか、動けなくなったら負けという至ってシンプルなものだ。
戦車コレクターの まさゆき君 VS 僕と、たつや君でいつもやっていたんだけど
まさゆき君の大きな戦車に僕たちの小さな戦車がふんづけられていつも完敗だった。
僕は、まさゆき君が悪徳代官に思えていた。
僕たち連合軍の頭の中は打倒ビッグパットン(まさゆき君の大きな戦車の名前)でいっぱいだった。
この戦争ゲームもクラスで噂になって仲間がどんどん増えてきた。
後で考えてみると、クラス中に僕が営業活動をしたからだった。
新連合軍の結成だった。
それでも、悪代官は手ごわかった。
4人がかりでビッグパットンを押さえて動けないようにしたかと思うと、2台目のビッグパットンがやって来て、新連合軍を押しつぶしてしまうのである。
もうお手上げである
ルール変更!
僕は、ビッグパットンの参戦拒否を提案した。
提案は、当然だけど、圧倒的、多数決で可決された。
まさゆき君には言葉がなかった。
肩を落としたまさゆき君はもうあの悪代官の面影が無くなっていた。
これで、まさゆき君 VS 新連合軍 の構図は必然的に解消し、この時点でナンバー2の勢力を誇っていた僕と宿敵だったまさゆき君が手を組むことになった。
昨日の敵は今日の友
昨日の味方は今日の敵
ご飯の友は磯自慢 なのだ。
こうして、第3次世界大戦がはじまった。
僕とまさゆき君の正規軍と反正規軍の戦いである。
勝敗は、大きさが揃ったので、操縦テクと相手の下へ潜り込む潜車能力で決まる。
対戦してしばらくは、両能力に圧倒的に優れた僕たち正規軍の圧勝だった。
参加国も噂に噂を呼び、ほとんどの男子が参加するようになった。
戦場だった、まさゆき君の家もそれはそれは大変な騒ぎだったに違いない。
まさゆき君のお家の方、見てないと思いますけど、あの時はお騒がせして本当にすみませんでした。
と一言お礼を!
さて、正規軍があまりにも強すぎるので、敵に対して、僕は、新しい戦車の選定と操縦法、戦略を各国個別に伝授した。
まさゆき君には言ってないから、この行為は明らかにスパイ行為である。
まさゆき君が知ったら僕は軍事裁判に架けられていたに違いない。
今、思うとゾッとする。
これで、互角に戦えたら面白い
と思っていたんだけれど・・・・・
敵の数も増え、僕が選定した新型戦車を次々に導入したので、互角どころではなくなってしまった。
僕の戦車に最新鋭の戦車が4台5台と向かってくる。
蜂の巣状態である
まさゆき君!救援頼む! と 思って、まさゆき君の方を見ると真っ赤な顔して今にも泣き出しそうな状態だった。
救援はあきらめた。
数分後には、    
僕も、まさゆき君と同じ顔になっていた。
僕たちは完全に負けた。
白旗を揚げた。
第三次世界大戦は、反正規軍の圧勝で幕が降ろされたのだった。
正規軍の時代から反正規軍の時代に代わった。
僕とまさゆき君、そしてたつや君は除隊した。
やがてこのゲームも終局を迎えた。
世界平和が訪れたのだ。
途中、親友のたつや君が登場しなくなったのは、たつや君がとても優しくて、平和主義者だったのであまり参戦しなくなったからである。
ps
時代はどんどん代わっていく。
いつまでも世界が平和でありますように。