前回に続いて、しつこく健康診断ネタを!

フト、今、こんな疑問が湧いてきた。

ん、なんでレントゲンと言うのだろう?

インターネットは、実に便利である。
早速、ウィキペディアで調べると、「ヴィルヘルム・コンラート・レントゲン」X線を発見した人物と出た。
ここから、レントゲンは来たのか!

ためになった。
無知な自分へ未知なる知識がインプットされた瞬間である。
まあ、「レントゲンはX線を発見した人の名前」こんな感じで、わたくしの海馬に記憶されるはずである。

胃のレントゲン検査が、健康診断の数ある検査の中でもエース級の検査であることは、ここで検査を受けた人だけが知っているトリビアである。
レントゲン室へ入ると、まず、レントゲン技師は自分の名前を名乗り、よろしくと挨拶をするのが、ここの昔からのしきたりである。

最近、レントゲン技師も女性が多くなってきているのだろうか、前回に続いて今回も女性のレントゲン技師だった。
となりの山田君の話では、一般に女性のレントゲン技師をレントゲン女子と呼ぶそうである

レントゲン女子といっても、ずいぶん前の女子だし、別段うれしくもなんともないんだが。
そんな感じの女性なのである。

「直立したまな板」には、足を乗せる台がついていて、スリッパを脱いでそこに立つよう指示されるのであった。

ここに立った者達は、みな鯉の気持ちになるのである。

儀式の始まりである。

胃のレントゲン検査には、もれなくバリウムがついてくる。
昔は、マクドナルドのLサイズドリンクカップほどの量を飲まなければならなかったが、今はMサイズまでにダウンサイジングされている。
これについては、技術の革新なのか、はたまた物価高騰の影響なのかは定かでない。

バリウムが好きな人間はそう多くはいないはずである。わたくしはそんなに嫌いでもない。
最近のバリウムは、Mサイズになってしまったけどほんの少し味がついたようで割といけるかもしれない。
昼からの健康診断だったため、朝から何も食べていない。
こんな状態だからか、バリウムさえも美味しく感じてしまうのかも知れない。
コクのきいたマックシェイクと思えばハッピーになれる。

バリウムを飲む前に顆粒になった炭酸を飲まなければならない。
バリウムに炭酸を溶かしたドリンク「バリウムサワー」でも構わない気がするけど、これは、相当まずそうな飲み物だと容易に想像できる。
炭酸の量は、なぜか昔と全く変わっていない。
炭酸はどうも物価高騰の影響を受けていないのだろうか?
料金据え置きのような感じでお得感を感じてしまう。

口の中にシュワっと炭酸がひろがり、その清涼感を味わったあとに、コクのきいたマックシェイクを胃に流し込む。

準備はできた。
時が来た。

ここからが、我慢比べのはじまりである。

このゲームのルールはこうだ。
ゲップを出すと罰ゲームとして、追加の炭酸を飲まなければならない。
このルールは昔も今も変わらない。
コーラの後のゲップが至上の喜びだとすれば、この我慢比べは、まさしく地獄であろう。

レントゲン技師が、SかMかどちらかという問題がもし出題されたとすれば、答えは、間違いなくSである。
ボクは3秒以内にこたえる自信がある。
Sならまだいい、今回の担当者がドSでないことを祈りながら・・・・

儀式は遂行されていく。

「グイーン」と小さな音をたてながら、まな板が45度回転した。

レントゲン技師からすかさず指示が飛ぶ!

そのまま右へ1回転!

さらに、左へ1回転!

「人間コンクリートミキサーの刑」が下されたのだ。

ガラスの向こう側にいるレントゲン技師が「どうだ! おまえはこれでもゲップをがまんできるのか!」 と言う顔をしている。

さあ、これからが撮影タイムである。

「右をむいて」とか、「左を向いて」とか、「少し腰をあげて」とか・・・・「ちょっと笑って」とは言わないが、いろいろなポーズを取らされで撮影が進行する。

どんな写真集になるのか?
ひそかな期待が頭をよぎる。

撮影も佳境にはいってくると、ここから最大の見せ場が始まるのである。

「グイーン」と小さな音をたてながら、まな板が水平になった。
さらに20度ほど「グイーン」と回転する。
つまり200度「グイーン」と回転するのである。
しかもうつ伏せ状態の「グイーン」は少々つらいのである。

血が頭に登る。
しっかりレバーを握っていなければと頭からダイブしてしまう。
体力と気力の勝負が今、始まったのである。

レントゲン技師 VS 健康診断経験者 の熱いバトルが。

ぶっちゃけ、年々年を取り、体力が低下する中、「いつまでこんなことができるのだろう」と素朴な思いがフト頭をよぎった。

「ん、何、何、いつもより、ぜんぜん楽じゃないか!」

今回の担当者はどうもSどまりだったようだ、前回より200度停止時間が短かったように思う。
最大の見せ場「宙吊りの刑」はこうしてあっけなく無事に終わった。
少し物足りなさを感じるほどの余裕が私には残っていた。

このあと、少し撮影タイムに入り、いよいよクライマックスに入っていく。

クライマックスには、「マシンパンチの刑」が待っている。

この刑を要約すると、まな板マシンに取り付けられたコブシが、みぞおち目がけて飛んではこないけど、くるのである。

(みぞおちを抑えてレントゲン撮影を行っているだけのことなんだけど)

前回の対戦を振り返ってみると、アバラへの反則攻撃が頻繁に行われたため、オレはかなりのダメージを残したのだった。

しかし、今回の担当者は、非常にフェアであり、正確なパンチを打ってくるので「マシンパンチの刑」はとても軽く済んだ。

今年もめでたく「胃のレントゲン検査の儀」は終了したのであった。

ほかにも、眼底検査の儀とか超音波(エコー)検査の儀とかさまざまな儀式があるけれど、また気が向いたら書きとめるかもしれない。