はじめに
いつもは拙者だが、過去に戻ったので僕になった
僕はそんなに勉強ができるわけでもなく、すごくスポーツができるわけでもない。
どこにでもいるような小学生だった。
テツオ君じゃないテツオと僕は因縁の関係だった。
昼休みと放課後はいつも砂場で、僕とテツオの決闘が始まる。
砂場の中で行い、ギブアップで終了になるんだ。
プロレスと相撲技が中心でキックやパンチは無しというルールになっていた。
テツオは僕より少し小柄、勉強はそこそこできる。
特技はうさぎ跳び
自分がうさぎと思い込んでいるらしい。
テツオのうさぎ飛びは、ウサギ以上にウサギらしい。
クラスの誰もが、テツオのうさぎ跳びに釘付けになってしまう。
関根ツトムは昔ラビット関根という芸名だったけど、テツオこそ、本当のラビットなんだよ。
キング・オブ・ラビットテツオ
赤コーナー キング・オブ・ラビットテツオ
青コーナー 僕(タケシ)
レフェリーはアキノブ君こと通称土人
すごいあだ名でしょ
土人だよ土人 ネーミングは僕
決闘開始!!
ゴングは無いから、土人が口でチンと言ってくれる
結果はいつも同じ
僕の圧勝
いつも10こ上の兄貴のスパーリングパートナー(ストレス発散要員)に僕は指名されているから鍛え方が違う
うさぎ跳びしか出来ないテツオとは、違うんだ。
いつもギブアップで終わっちゃって面白くないから
今日こそは泣かしてやろうっていつも思ってるのに、テツオは泣かない。
絶対鳴かない
泣きそうで鳴かない。
どうしても鳴かない。
これでは、僕は秀吉にはなれないし、ましてや家康にはなれない。
信長になら、なれるチャンスはあるけど、これはルール違反でしかも犯罪になってしまう。
あとでわかったんだけどウサギは鳴かないんだってさ!
またひとつ勉強になった。
この後も決闘は続いたが、いつの日にかテツオはウサギからカエルになった。
理由は本人もわからないかも知れないけど、テツオは大好きなウサギ飛びの後、必ずゲロゲロというようになった。
ぴょ~ん ぴょ~ん ゲロゲロ ぴょ~ん ぴょ~ん ゲロゲロ
世の中不思議な少年もいるもんだ。
テツオはそれ以来、みんなにガマと呼ばれるようになった。
回顧伝 僕たちの決闘 ~カエルになった少年
公開日 : / 更新日 :